■帯より転載
マインド・イーターとは、人間を完全に異質なものに替えてしまう害意をもった鉱物的存在であり、音楽であり、言語である。
応戦の術はない。
「日本SFが成し遂げた最高の達成」-飛 浩隆
書籍未収録だった短編二作品を加えた完全版
■感想
(エンターテイメント作品全てかも知れないが)
SFの一つの醍醐味である、話の基板となる設定や謎解きが明かされ、目の前の視界が鮮やかに開けたかのような、最終ページを読み終えた後のカタルシス(面白さ)は、本作品にはありません。
しかし、一晩で熱中して読み終えてしまうほど、そこには別の面白さがあったのです。
短編集・連作によくある、一つの設定を元にしたストーリーの積層でもなく、最終回に向かって回を重ねる訳でもなく、読んでいる者自身がマインド・イーターの世界に飲み込まれてしまうような、深みが濃くなっていく面白さがあります。
「80年代日本SFの一つの到達点」の看板とおりです。
(初出1982~1984年, 完全版初版2011年11月)
★★★★