2015年2月14日土曜日

『マインド・イーター[完全版] 』 水見 稜

「面白い」と「面白い」を考えさせられた珠玉の連作

■帯より転載
マインド・イーターとは、人間を完全に異質なものに替えてしまう害意をもった鉱物的存在であり、音楽であり、言語である。
応戦の術はない。
「日本SFが成し遂げた最高の達成」-飛 浩隆
書籍未収録だった短編二作品を加えた完全版

■感想
(エンターテイメント作品全てかも知れないが)
SFの一つの醍醐味である、話の基板となる設定や謎解きが明かされ、目の前の視界が鮮やかに開けたかのような、最終ページを読み終えた後のカタルシス(面白さ)は、本作品にはありません。
しかし、一晩で熱中して読み終えてしまうほど、そこには別の面白さがあったのです。
短編集・連作によくある、一つの設定を元にしたストーリーの積層でもなく、最終回に向かって回を重ねる訳でもなく、読んでいる者自身がマインド・イーターの世界に飲み込まれてしまうような、深みが濃くなっていく面白さがあります。
「80年代日本SFの一つの到達点」の看板とおりです。
(初出1982~1984年, 完全版初版2011年11月)

★★★★


2015年2月7日土曜日

『Home』 Polaris

ただよう心地よさ

「君はまだ見えない人を探していたんだね・・・」
そんな一言から始まる名曲「季節」をはじめ、「天気図」などキラキラと光る作品が詰まったアルバムです。
ヒットチャートを賑わすことはないかも知れないけど、気に入った人はきっと何十年後も口ずさむはず。
歌詞は、高橋幸宏や鈴木慶一にもつながる、弱弱しさの中に光る強さや絶望感はあるけれど希望も捨てていない、そんな印象。
メロディーは、ダブのリズムに合わせ、漂う様に流れていきます。
雪解けの知らせや日曜日の朝日と共に聞きたい一枚です。
ずいぶん抽象的なレビューになってしまいましたが、「季節」はもっと多くの人のフェイバリットソングに加えてもらいたい一曲です。
(2002年11月発売, 2003/2/24 Amazonに投稿)

☆☆☆☆