2024年11月11日月曜日

『歌う船[完全版]』 アン・マキャフリー

1969年初出の作品とは思えない色褪せることない傑作。1977・1999年に追加された短編含め嶋田洋一による新訳も素晴らしい

■帯より転載
少女の心とチタン製の身体を持つ
宇宙船ヘルヴァの活躍と成長
旧版の6編に、のちに書かれた短編2編を追加収録した
歴史的傑作の新訳完全版!

■感想
帯に書かれた「短編2編を追加収録」で、サイボーグ船ヘルヴァのその後がどうしても読みたくなり手に取った次第。
「新訳完全版」の文字はなぜか読み落とし、旧訳+追加新訳2編と思い読了。
旧訳の雰囲気をそのままにシームレスに新訳し嶋田洋一の訳は上手だなと思っていたら、旧版6編も新訳されておりました。。。
読み返すと、章タイトルも変更されていました。
旧版(酒匂真理子 訳) ⇒ 新訳(嶋田洋一 訳)
歌った船 ⇒ 船は歌った
嘆いた船 ⇒ 船は悼んだ
殺した船 ⇒ 船は殺した
劇的任務 ⇒ 劇的任務
あざむいた船 ⇒ 船は欺いた
伴侶を得た船 ⇒ 船はパートナーを得た
(収録なし) ⇒ ハネムーン
(収録なし) ⇒ 船は還った
「ハネムーン」と「船は還った」は旧版6編から18年・30年後に発表されたにも関わらず、今時の冗長とした展開ではなく往年のSFらしく要所要所のみが語られ、行間を読者に委ねているようにも思えます。
蛇足ではなく、納得の2編ですので、旧版を読みヘルヴァを愛しいと思った方にはぜひ読んでほしいです。
また各章は50ページほどのなので読みやすく、SF入門にも最適です。
(THE SHIP WHO SANG/HONEY MOON/THE SHIP THAT RETURNED by Anne McCaffrey, Copyright 1969,1977,1999. 2024年発行)

★★★★