2021年2月11日木曜日

『2312-太陽系太陽系動乱-(上・下)』 キム・スタンリー・ロビンスン

常に太陽の反対側に来るように、水星の表面に敷かれたレール上を巨大な都市が移動する。巨大なギミックに惹かれる

■裏表紙より抜粋
西暦2312年、人類は太陽系各地で反映しつつも、資源格差や環境問題をめぐり対立を深めていた。そんななか、諸勢力共存の要であった水星の大政治家アレックスが急死。彼女の孫スワンは、移動都市を襲う隕石衝突に巻き込まれる!

■感想
テラフォーミングされた太陽系内の各惑星の描写と地球外に進出した人類の多様性が特徴的です。
一般的な地球外惑星の描写は、各惑星の太陽からの距離による気候変動を加味した地球に似たものであったり、惑星表面に建てられたドームなどが多く、その他のギミックやストーリーに力点が置かれています。
しかし、本作では水星は「常に太陽の反対側に来るように、水星の表面に敷かれたレール上を巨大な都市が移動する」と描かれ、今までにはないイメージを想起させてくれます。
また、小鳥の脳を追加移植した水星人の主人公スワン、ヒキガエルのように眼玉を飛び出した土星連盟の外交官ワーラムなど、キャラクターの造形も凝っています。
ただし、本作の主題を「愛」と読むか、「量子AIの奇妙な動き」と捉えるかで、評価が分かれるような気がします。
(2312 by Kim Stanley Robinson, Copyright 2012. 2014年発行)

★★★