2026年5月13日水曜日

『ミネルヴァ計画』 ジェイムズ・P・ホーガン

並行宇宙をテーマにすることで、世界線A・B・・・が拡散・収束される


■帯より転載
『星を継ぐもの』シリーズ
堂々の最終巻!
シリーズ累計266刷154万部突破!
2024年創元SFオールタイム・ベスト読者投票第1位

■感想
本書は14年振り(日本では18年)に刊行された《巨人たちの星(星を継ぐもの)シリーズ》の5作目にして最終巻です。
本作は「並行宇宙(Bの世界線)のハント博士から本書の世界(Aの世界線)のハント博士へ通信が入る」ことから物語は始まります。
SFの面白さの一つに、異星人・文明などの地球以外の何かに遭遇する面白さがあると思いますが、並行宇宙とのファーストコンタクトは本書の世界線やメタ的視点の読者の世界線と近くにあり過ぎてしまい、一つの面白さを欠いているよう感じられます。
しかし、ホーガンのストーリーテリングの力は衰えてはなく、次から次へと新たな問題・解決・視点などが展開される面白さは健在です。
そして、冒頭にある「収束」がきちんと結末に回収されるのもさすがです。
(Mission to Minerva by James Patrick Hogan, Copyright 2005. 2024年発行)

★★★



2026年4月9日木曜日

『エネルギー救出作戦 SFショートショート』 堀 晃

 ショートショート、短編集、エッセイの3部構成。ショートショートは古臭さを否めないが、短編集は今読んでも面白い

■帯より転載
星新一氏激賞!―SF界の異才が放つ最新傑作ショートショート集
ある日、大量のウランを搭載した宇宙船が行方不明になり、地球は世界的規模のエネルギー危機におちいった……。表題作のほか、「冥王星」「安楽死星」「月へ逃げた男」など全21篇収録!

■感想
本書は、地球のエネルギーをテーマとしたショートショート12篇、太陽系を舞台とした短編8篇、永久機関に関してのエッセイ1編から構成。
第一部のショートショートは、あとがきに「万能の科学者が語り手となる古典的アナログ的構成をとった」とあるように、わざと古臭い手法を取っているようですが、さすがに、1980年発行から46年も経ると古臭さを否めません。
しかし、第二部の太陽系を舞台とした短編8篇は、これぞ堀晃というべき美しい宇宙、イマジネーションを掻き立てます。2026年現在でも十分面白いです。
第三部は、ショートショートの1篇で扱われている「永久機関」を考察したエッセイです。
(1980年発行)

★★★