2020年9月7日月曜日

『遺跡の声』 堀 晃

My Best SF③
日本ハードSFのベスト!極限にまで研ぎ澄まされ乾いた文体、反比例するかのように極限まで広がる美しい宇宙観

■帯より転載
銀河の渦状肢に散在する遺跡の謎。
星々を巡る調査員の私と、
助手・結晶生命体トリニティの旅路。
傑作「太陽風交点」にはじまるハードSFの粋
《宇宙遺跡調査員》シリーズを最新作まで収録

■感想
日本SF作家のMy Bestは堀晃です!
2007年に本書が新作を含めて再出版された際に初めて読んだのですが、心を揺さぶられました。
「こんな美しく宇宙のイメージを描き出すSFには初めて出会った。My Best SF作家として全作品を網羅したい」と思ったのです。
わびさびのように極限にまで研ぎ澄まされた必要最低限な文体、しかし反比例するかのように読者の脳裏には行間を埋め尽くすかのように、どこまでも広がる冷たい漆黒と銀河周辺部に点在する星々の煌めきが広がっていくのです。
そこに遺跡調査員の主人公と結晶生命体トリニティの出会いから別れ、遺跡・銀河系周辺部を舞台にすることによる生命の躍動・地球との対比、生と死のイメージが積み重ねられていきます。
残念なことに著者は寡作な上、絶版も多いため、全作品の収集には難儀しそうです。
(2007年9月発行, 1976~2007年の作品を収録)

★★★★★