2021年8月8日日曜日

『火星へ(上・下)』 メアリ・ロビネット・コワル

2020年代におけるタイムリーなテーマを内包する歴史改変SFの第二作

■帯より転載
地球での分断と対立も含めて、
とてもリアリティがあり、かつ考えさせられる作品。
火星でも星は輝く。
哀しみも愛も全てを包んで。
-山崎直子(宇宙飛行士)
ヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞受賞『宇宙へ』続編

■感想
本作はレディ・アストロノート・シリーズの長編第二作にあたります。
舞台は月から、現実の世界では未実施の火星探査船へと変わるのに、コンピュータ等の一部テクノロジーが発達していない=アナログのままなど、1960年代のif物語としての設定の必要性に懐疑が残りますが、ストーリーテーリングは上手いので、あっという間にエンディングまで面白く読むことはできます。
また、一作目で描かれていた「男性社会への女性進出」は少し鳴りを潜め、本作では「多様性の認知」がより色濃く描かれ、2020年代におけるタイムリーなテーマを内包しています。
読後は「多様性」に対する自身の捉え方を再認識することになりました。
(THE FASTED SKY by Mary Robinette Kowal, Copyright 2018. 2021年発行)

★★★