ジョン・スコルジー作品には外れ無し。手が届きそうな絶妙な距離感の近未来・世界感で起きるミステリー
疫病が
蔓延した未来
+ニューラルネットワーク
+不可解な殺人事件
ロボットを操作する新人FBI捜査官が
直面した奇妙な事件とは?リアルな
想像力で描くパンデミック後の世界。
■感想
2014年に書かれた本作品ですが、コロナ禍が2年近く続く2022年に読むと、作品内で描かれているパンデミック後の世界観への共振が増し多様な気がします。
意識はあるのに体が動かなくなる病状が世界中に蔓延。
最初の発生から20年後、ヘイデンと呼ばれる患者たちは脳にニューラルネットワークを埋め込み、専用オンライン空間を利用と、現実世界を代理で動くロボット「スリープ」を操ることで通常の生活を送れるようになった・・・。
これらのギミックの絶妙な距離感(20・30年後には手が届きそうなテクノロジー)が、作品世界を私たちの現実と地続きのように錯覚させます。
ヘイデンである主人公シェインはスリーブを操り、先輩FBI捜査官と共に殺人事件を捜査していくのがストーリーの軸となります。
ただし、ミステリーとしての犯人・犯行動機の解決は従であり、ストーリーが進展していく度に、その世界観が一つ一つ膜が剥がされ明確になっていく=SFとしての世界観の強度が増すこと(主)に爽快感を得ることができます。
(LOCK IN by John Scalzi Copyright 2014. 2016年発行)
★★★★