2020年11月23日月曜日

『内なる宇宙(上・下)』 ジェイムズ・P・ホーガン

コンピュータ・ネットワーク上に生まれた何か。ホーガンの慧眼に感服

■裏表紙より抜粋
ある日突然人格が他者のものとすり替わってしまう・・・いたるところで奇異な現象が多発するジェヴレン社会に、ハント博士らは直面した。人格はコンピュータ・ネットワークを通じて別の宇宙から送り込まれてくるという。ジェヴレンを狙う”内宇宙”とは何か?

■感想
本書は14年振りに刊行された《巨人たちの星シリーズ》の4作目です。
映画『マトリックス』(監督・脚本:ウォシャウスキー姉妹, 1999年)に先駆けること8年、コンピュータ・ネットワーク上に生まれたあるものを描いています。
コンピュータ(AI)の発達により、それ自身が人格・知性を持ち始める、といった展開では全く無く、ホーガンの慧眼に感服します。
14年振りにも拘らず、物理学者ハントや生物学者ダンチェッカーの言動は変わることなく、前3部作との地続きを感じながら、若干ご都合主義が強くなった、新しい物語に入っていくことができます。
5作目にあたる『Mission to Minerva』(Copyright 2005)は未訳であり、本4作目で解決されつつ新しく提示された謎のその後が気になります。
(ENTOVERSE by James Patrick Hogan, Copyright 1991. 1997年発行)

★★★