2021年1月31日日曜日

『時を紡ぐ少女』 ジェニファー・アルビン

絵画『大地のマントを刺繍する』から着想を得た、彩る世界の物語

■裏表紙より抜粋
紡ぎ女が織るつづれ織りに刺繍娘が刺繍を施す。それがアラスの世界を形作っていた。人の生死さえも。政府の方針に逆らった両親は消され、無理やり連れていかれたアデリスを待っていたのは、華やかな生活とその裏に潜むアラスの真の姿だった。

■感想
本作は著者が、画家レメディオス・バロの『大地のマントを刺繍する』(EMBROIDERING THE EARTH’S MANTLE by Remedios Varo, 1961)から着想を得たそうです。
その絵画のごとく、刺繍娘が刺繍を施すことで、気象・農産物・人口など全てを制御する世界。
刺繍娘が織機を用い、一本一本の糸が絡み合い彩る世界を織っていく描写は、とても美しいもので、1枚の絵画からよくぞここまで広げられたかと感嘆のあまりです。
しかし、本作は三部作の1作目にあたるため、世界観の説明に多くを割かれ、多くの謎や主人公アデリスの運命の先は次巻への持ち越しとなります。
(CREWEL END by Gennifer Albin, Copyright 2012. 2015年発行)

★★★


■Crewel World Trilogy
・『時を紡ぐ少女』(Copyright 2012, 2015年発行)
・『ALTERED』(Copyright 2013,未訳) 
・『UNRAVELED』(Copyright 2014,未訳) 

■EMBROIDERING THE EARTH’S MANTLE by Remedios Varo, 1961
※WIKIARTより転載