2020年10月8日木曜日

『亡霊星域』 アン・レッキー

嵐の前の静けさか。舞台はアソエク星系にほぼ限定されるが、第3部に向けて世界観・テーマは深化する

■帯より転載
ヒューゴー賞・ネビュラ賞など
シリーズ計9冠受賞!
『叛逆航路』第2部
本格宇宙SFのニュー・スタンダード

■感想
かつては宇宙戦艦のAIかつ複数の肉体を持つ存在であったが、今はただ一つの肉体しか持たない「属躰」の主人公ブレク。
大切にしていた人の妹が住むアソエク星系に艦隊司令官として赴任し、星系を守るために敵対勢力に挑む・・・。
第1部が復讐劇として動きがあるのに比べ、第2部は舞台はアソエク星系にほぼ限定され密室劇・知恵比べ・サスペンスのような面白さです。
副官として新規乗船したティルサルワットの正体が明かされる序盤含め、蛮族プレスジャーの登場など、舞台が限定されているにも関わらず、その世界観はより広がっていきます。
邦題に関しての補足。
『年間日本SF傑作選 虚構機関』(2008年12月発行)の序文(大森 望)に、<漢字四文字は創元SF文庫の勝負作の基本>との記載を見つけ、本シリーズの不可解な邦題がやっと腑に落ちた次第です。
(ANCILLARY SWORD by Ann Leckie, Copyright 2014. 2016年発行)

★★★★