2021年10月18日月曜日

『無伴奏ソナタ』 オースン・スコット・カード

新訳が出版される=普遍的な面白さを持つ作品とも言えるはず。ハード、ファンタジー、ホラーと多岐にわたるカードの魅力が凝縮された短編集

■裏表紙より抜粋
無重力戦闘室で命がけの戦争ゲームを展開する11歳の指揮官を主人公にした「エンダーのゲーム」などファンタジイからハードコアSFまで独創的なアイディアと奔放華麗な想像力で描き出す傑作11篇を収録!

■感想
『エンダーのゲーム』(長編版)を未読であれば、本短編集の前にまずはヒューゴー賞/ネビュラ賞を受賞した長編版から読むことをお勧めします。
主人公エンダーの成長が細部まで積み上げられているからこその、肝であるオチを十二分に堪能できるからです。
もちろん、麗しきエンダーの姉ヴァレンタインも長編版だからこその配役です。

「処女作にはその作家の全てが表れる」とよく言われますが、本短編集は正にその通りの内容です。
『エンダーのゲーム』は然り、『消えた少年たち』を思わせるようなホラータッチ、『第七の封印』をはじめとしたファンタジー物の原型などを見て取ることができます。
1979年から1981年と約40年前に発表された作品たちですが、2014年に新訳版が発行されることが、本書が普遍的なSFの面白さを持つことの証とも言えます。
また、個人的には《エンダーコレクション》以外のファンタジー寄りの作品群に少し飽きていたところに、“やっぱりカードは面白い!”と再認識させられた短篇集となります。
(UNACCOMPANIED SONATA & OTHER STORIES by Orson Scott Card, Copyright 1977,1978,7979,1980,1981. 1985年発行)

★★★★