■裏表紙より抜粋
世界各地で紛争が起こるなか、世界を統べる覇者―ヘゲモンに就任したエンダーの兄ピーターは、あろうことか殺人鬼アシルを部下として迎えることにする。宿敵アシルがピーターのもとに来ると知ったビーンは、友人ペトラとともに逃げだすが・・・・・・
■感想
本書はビーンを主人公とした《エンダーズ・シャドウシリーズ》の3作目です。
正編《エンダー5部作》と対をなすように、宇宙/地球内、3000年/15年程度、異生命体/亜人類などの舞台・設定は異なりますが、家族・愛・生と死が根底に流れています。
また、後半になるにつれて主人公の活躍が控えめとなり、懐かしいアーライをはじめ脇を固めるキャラクターたちが生き生きと物語を引っ張て行くことも、対になっているかのようです。
残念なことに本シリーズの翻訳版は本作までであり、4作目『SHADOW OF THE GIANT』(Copyright 2005)、5作目『SHADOWS IN FLIGHT』(Copyright 2012)は未訳となります。
ビーンのその後や本作で明らかにされた伏線が回収されていない状況はもどかしい限りです。
早川書房さん、何とか『ENDER IN EXILE』(Copyright 2008)を含め、ぜひ翻訳出版してもらえないでしょうか。
首を長くして待っています。
余談ですが、『エンダーのゲーム(新訳版)』のイラストカバー絵が、主人公エンダーと姉バレンタインとペトラだったのが、ペトラが活躍する本作を読み直して腑に落ちたところです。
(SHADOW PUPPETS by Orson Scott Card, Copyright 2002. 2004年発行)
★★★