2020年7月4日土曜日

『人間の手がまだ触れない』 ロバート・シェクリイ

現代社会にも通じる風刺と文明批判は、60年以上前の作品とは思えない普遍的な面白さを持つ

■裏表紙より抜粋
次巻と次元の境でふとほころびた穴に落ちた男の話など、奇想天外なアイディアと自由奔放なイメージ、鋭く軽妙なユーモアに満ち満ちた珠玉の短篇13篇を収録する傑作短篇集!

■解説(高橋良平)より抜粋
60年代、日本SF界の創世記のころ、SFの普及・浸透の大任をはたしたのが、フレドリック・ブラウン、レイ・ブラッドベリ、そしてロバート・シェクリィの三羽烏だった。・・・シェクリィはウィットあふれるスマートな作風で、人口に膾炙していった。
※膾炙=世の人々の評判になって知れ渡ること

■感想
60年以上前に発表された作品のため、現代のSFに比べるとSFならではのダイナミックさには少し物足りなさもありますが、現代社会にも通じる風刺と文明批判の視点は古さを感じさせないばかりか、作品発表から60年を経過しているにもかかわらず人間の考え方や社会は少しも変化していないのではとニヤリとさせてしまう面白さが詰まっています。
星 新一のショート・ショートが好きな方にはぜひ手にすることをお薦めします。
SFの教科書の一つかと思われます。
(UNTOUCHED BY HUMAN HANDS by Robert Sheckley, Copyright 1954. 1985年発行)

★★★