2020年8月13日木曜日

『エンディミオンの覚醒(上・下)』 ダン・シモンズ

My Best SF①-4
「共感」・・・普遍的な価値観を突き付ける現代SFの頂点

■裏表紙より抜粋
人類がパクスの支配下におかれた32世紀。アイネイアーは、人類の救世主たる自らの使命を果たすべくパクス支配領域への帰還を決意する。そして彼女と行動をともにしてきたエンディミオンもまた新たな冒険へと旅立つが・・・・・・

■感想
本書は《ハイペリオン・シリーズ》の第4部です。
第1部と第2部が対になっていたように本書は第3部と対になり、全巻約4,400ページのボリュームに相応しい壮大な未来叙事詩が完結に向かいます。
パクス(カトリック教会)、アウスター(亜人類)、テクノコア:穏健派・急進派・究極派(AI)、アンドロイド、サイブリッド(テクノコアの肉体を伴った端末)、シュライク(機械の神の先兵)・・・それぞれの主義・思惑・行動が絡み合い、人類の未来はアイネイアー(救世主)に託されます。
そして、アイネイアーの言動の根底にあるもの=「共感」という普遍的な価値観を読者に突き付けてきます。(共感こそ、コロナ禍の今、一人ひとりが心の中に備える必要があるのかもしれません)
規格外の面白さに加え、本質的な価値観を称えるからこそ、本シリーズは現代SFの頂点と言っても過言はないはずです。
また、本シリーズを読了しアイネイアーロスを抱えた読者のために、著書は本シリーズの後日譚を描いた『ヘリックスの孤児』(Copyright 1999. 2009年発行)を発表しています。
(THE RISE OF ENDYMION by Dan Simmons, Copyright 1997. 2002年発行)

 ★★★★★