2020年8月8日土曜日

『ハイペリオン(上・下)』 ダン・シモンズ

My Best SF①-1
ベスト・オブ・ベスト!既存SFの良いところ全部入り。SFならではのアイディア・キャラクター・飛躍・謎解き・爽快感が全て堪能できる

■裏表紙より抜粋
28世紀、宇宙に進出した人類を統べる連邦政府を震撼させる事態が発生した!時を超越する殺戮者シュライクを封じ込めた<時間の墓標>が開きはじめたというのだ。連邦は敵よりも早く<時間の墓標>の謎を解明すべく、七人の男女をハイペリオンへと送りだしたが・・・・・・

■感想
本書は《ハイペリオン・シリーズ》の第1部です。
4部作各上下巻・文庫本計8冊の総ページ数は約4,400ページのボリュームですが、読み始めたらジェットコースターに乗ったかのように、ページをめくる指が止まりません。
なぜなら、既存SFの良いところは全部入りと言っても過言ではなく、SFならではのアイディア・キャラクター・飛躍・謎解き・爽快感などが全て堪能できるからです。
「SF読みで良かった!」と思ったことを、初読から20年近く経た今でも覚えています。
本書は『千夜一夜物語』のように入れ子構造になっており、(大枠)時間の墓標を目指す7人の巡礼者の物語⇔(中枠)各巡礼者が語るそれぞれの時間の墓標との物語⇔(小枠)中枠に登場する人物が語る物語となっています。
また、それぞれ中・小枠の物語もミステリー・バトル・ラブロマンス・ホラー・ファミリーなどジャンルが多岐にわたり、さらに一人称・三人称も物語に即して使い分けられているのですが、著者の圧倒的に筆力によって一切の破綻はありません。
既存SFの良いところ全部入りだけではなく、オールジャンルが堪能できる作品であり、本シリーズは未だMy Best of Best SFです。
(HYPERION by Dan Simmons, Copyright 1989. 2000年発行)

 ★★★★★

 

■ハイペリオン・シリーズ
・『ハイペリオン』(Copyright 1989. 2000年発行) ヒューゴー賞/ローカス賞
・『ハイペリオンの没落』(Copyright 1990. 2001年発行) ローカス賞
・『エンディミオン』(Copyright 1996. 2002年発行)
・『エンディミオンの覚醒』(Copyright 1997. 2002年発行) ローカス賞