2020年8月15日土曜日

『第五の季節』 N・K・ジェミシン

SFよりもファンタジーよりな物語。第二部・第三部へと続く、数百年ごとにリセットされる世界が提示される

■帯より転載
前人未到の
三年連続
ヒューゴー賞
受賞シリーズ
では、
世界の終わりの話から
はじめようか。

■感想
数百年ごとに天変地異が起こり、その都度文明が滅びる世界(遠い未来の地球)。
中世ヨーロッパ的かつディストピアを背景に、(地殻を操ることができる)オロジェンであることを隠していた主婦のエッスン、オロジェンとしての力を訓練する少女ダマヤ、オロジェンのエリート教育を受けたアライアの物語が交差しながら、この世界における階級社会や歴史などが徐々に見えてきます。
しかし、本作単独では大きなカタルシスを得ることはできません。
(『破壊された地球(上・中・下)』の上巻という位置付けです)
「三年連続ヒューゴー賞受賞」という期待感からの、SFというよりファンタジーよりな世界観、抑圧された階級社会への苛立ちという骨子に、少し肩透かしされたかのような読後感です。
(THE FIFTH SEASON by N. K. Jemisin, Copyright 2015. 2020年発行)

★★★



■《破壊された地球》三部作
・第一部『第五の季節』(Copyright 2015. 2020年発行) ヒューゴー賞
・第二部『オベリスクの門(仮題)』(Copyright 2016. 2021年春刊行予定) ヒューゴー賞
・第三部・完結編『石の空(仮題)』(Copyright 2017. 2021年秋刊行予定) ヒューゴー賞/ネビュラ賞