2020年6月8日月曜日

『日本SF傑作選6 半村良 わがふるさとは黄泉の国/戦国自衛隊』 半村 良

伝奇・人情SFで知られる半村良の初期短編集

■帯より転載
第1期・全6巻、完結
SF誕生60周年記念企画
「収穫」「赤い酒場を訪れたまえ」
「およね平吉時穴道行」「箪笥」など
半村良の超絶話芸12篇を収録。

■感想
伝奇SF・人情SFという半村良の作風は、西洋を端を発するScience Fictionからの脱却=日本文化との融合としては正しいかと思われます。
そもそも『南総里見八犬伝』(滝沢 馬琴, 1814~1842年)という日本古来のSF長編・伝奇小説の古典もありますし。
個人の嗜好になってしまうのですが、SFの醍醐味を未来やテクノロジー・ガジェット等に感じる性質のため、本著は少し口に合わなかったのが正直なところです。
映画化された『戦国自衛隊』(1971年)をはじめ各短編はアイディアもフリとオチも面白く、読後感は「なるほど!」となります。

ともあれ、SF誕生60周年記念企画として「日本SF傑作選 第1期・全6巻」を編集してくれた日下三蔵氏、発行してくれた早川書房には謝辞を申し上げます。
本傑作選により、読まず嫌いであった作家の作品も読むことができましたし、何より日本SF創世記の空気にも触れることができました。
「第2期」の発行を切に心待ちしております。
(2018年6月発行, 1963~75年の作品を収録)

★★★