2020年6月28日日曜日

『三体Ⅱ 黒暗森林(上・下)』 劉 慈欣

2000年代のベストSF!2020年の現在にもし異星文明と宇宙戦争をしなくてはいけないのであれば、本書のとおりかも知れないと奇妙な現実感に襲われる

■帯より転載
現代中国
最大の衝撃作『三体』
驚天動地の
第二部!
驚異の技術力をもつ異星文明・
三体世界に立ち向かうため、
地球が発動した前代未聞の
「面壁計画」とは!?

■感想
400光年先にある異性文明・三体世界から地球侵略のために出発した船隊が地球に到達するまでの時間は、地球時間で約400年。
三体世界からの先制攻撃により物理学発展の制約が課せられた上(技術的な発展が見込めない)、インターネットをはじめ他者とのコミュニケーション情報は全て三体世界に筒抜け、さらに人間とイナゴほどの圧倒的な差がある術力などの状況下、地球はどうやって対応するのか?
地球に残された僅かなアドバンテージ=400年という時間を上手く使うこと、全ての情報が筒抜けの三体世界を出し抜く方法として登場するのが「面壁計画」です。
さらに本書のタイトルでもある「暗黒森林」も含め、伏線の張り方と思わず唸る回収方法、人類が勝つか負けるのかのスリルと興奮が味わえます。
そして、現実の世界と同じく自国第一主義の世界観や約400年後を見据えた宇宙戦争の準備の仕方など現実世界とのリンクを感じ、「今、異性文明と約400年後戦うことが判明した場合、本書のように地球は準備するしかないのでは」と読書中にる奇妙な現実感に襲われる様は、正に2000年代ベストSFと呼びたいです。
(THE DARK FOREST by Liu Cixin, Copyright 2008. 2020年発行)

★★★★★