■帯より転載
第1期・全6巻、隔月刊行
日本SF誕生60周年記念企画
「わがパキーネ」「準B級市民」ほか
眉村 卓の異種生命SF、
インサイダーSF全22篇。
■感想
「インサイダーSF」とは眉村卓の造語(主な作品の方向性)であり、アウトサイダーに対比した「組織に属している人間=インサイダー」と組織の関係について描かれた未来SFの作品群です。
本書は著書の代表作である『司政官シリーズ』(1971年~1995年)前に書かれた初期作品(1960年代)で概ね構成されています。(ボーナストラックとして2000年代の2編収録)
どの短編もSF的アイディアには舌を巻きますが、『司政官シリーズ』ほど研ぎ澄まされた文体(華美な・情緒的な状況説明は少なく淡々としているが、各キャラクターはきちんと成立しており感情移入もできる)ではなく、少しウェットです。
同じボリューム(ページ数)であれば、『司政官 全短編』を最初に手を取ることをお薦めします。
短編が連なることにより広がっていく(司政官の)世界観、普遍的な人と組織の関係性、SF的な面白さに酔いしれることができるはずです。
(2017年12月発行, 1961~70年・2000年の作品を収録)
★★★