2021年12月18日土曜日

『反逆の星』 オースン・スコット・カード

ご都合主義・行き当たりばったり感が否めない、カードの初期ファンタジー

■帯より転載
大いなる旅立ち!
流刑惑星トリーズンで、国を追放された王
子ラニックのたどる数奇な運命とは・・・・・・?

■感想
冒頭の著者から「読者のみなさんへ」によると、本作は1979年に長編第二作として出版されたものを、ストーリー自体は変えず語り口を改定した1988年の作品です。
カードの多くの作品に共通する「特別な力を持った少年が、自分自身とその世界の様を発見し、変革していく」という骨子は、本作も同様です。
ただし、著者自らが初期の作品と呼ぶように、ご都合主義、行き当たりばったりなファンタジー冒険譚は、長編『エンダーのゲーム』から読み始めた者としては洗練されていない様に違和感を残す読後感でした。
また、本作の約30年後(2010年)に発表された『道を視る少年』は、洗練された原点回帰な作品であったことも分かりました。
(TREASON by Orson Scott Card, Copyright 1979,1988. 1992年発行)

★★★


2021年12月12日日曜日

Honda CT125・ハンターカブ: 改善対策

ギヤチェンジペダルが脱落する恐れがあるため、オーナーは至急、購入店で無償交換を!


■交換依頼から交換完了までは最速2日間(ご参考までに)
購入店: SOX○○店
所要時間: 約30分
支払総額: 無償
交換までの経緯:
・金曜日午前中、Hondaからダイレクトメールが届かないので、購入店に電話したところ、「無償で対応するので、早速、部品を注文します。部品が届き次第、再度連絡します」とのこと。
・土曜日午前中、購入店から部品到着の連絡があったので、整備工場の最速の空きを確認し、同日14時を予約。
・同日14:30、ギヤチェンジペダルの交換が完了。

CT125の改善対策(Honda Webサイトより一部転載)
届出日: 令和3年10月14日
不具合の部位(部品名): 操縦装置(ギヤチェンジペダル)
不具合状態にあると認める構造、装置又は性能の状況及びその原因:
ギヤチェンジペダルにおいて、チェンジペダルアームの形状が不適切なため、チェンジペダルボスとの溶接部強度が不足しているものがあります。そのため、変速操作を繰り返すと溶接部に亀裂が生じ、最悪の場合、走行中に当該溶接部が破損し、チェンジペダルアームが脱落して、他の交通を妨げるおそれがあります。
改善対策の内容: 対策品のギヤチェンジペダルと交換します。
自動車使用者及び自動車特定整備事業者等に周知させるための措置: 使用者へダイレクトメール等で通知します。
対象範囲: JA55-1000004~JA55-1020651/令和2年3月26日~令和3年8月15日

2021年12月7日火曜日

『無限のHAKU』 ROTH BART BARON

コロナ禍で少し疲弊した心にそっと手を差し出す、一筋の光を指し示すような2021年のマストアイテム!

BLUE SOULS|※アルバムにはA_o版ではなく、ROTH BART BARON版を収録

U b u g o e|ROTH BART BARON

■感想
1月:オンラインによる「HOWL SESSION」を開始。シンセサイザーやダブルギターなど毎回違うゲストとのセッションにより全く違う表情を見せる楽曲たち。
4月:突如TVから流れるROTH BART BARONの音に驚く。Bishのアイナ・ジ・エンドと組んだA_oによる『BLUE SOULS』・・・2021年の春から夏にかけて流れたポカリスエットのCMで、どれほど多くの人たちがROTH BART BARONに触れたことだろう。
5月:原田郁子(クラムボン)・小西遼(CRCK/LCKS、象眠舎)・Seihoと共同制作した『prism』の発表。
7月:多彩なゲストを迎え、自主フェスとも呼べる「BEAR NIGHT 2」を開催。
等々、今年はどこまで行くの?!とファンの期待を高めてきた中、
12月:満を持しての本6thアルバムの発表です。
しかも、ここ最近の常となっていたCDとLPの発売だけでなく、初回限定版としてCD+Blu-rayも発売。
Blu-rayはおまけレベルではなく、「BEAR NIGHT 2」の全20曲、原田郁子やアイナ・ジ・エンド等が参加した曲も収録されているという大盤振る舞い。

アルバムを通して聴き終えた後は、コロナ禍で少し疲弊した心にそっと手を差し出す、一筋の光を指し示すような・・・自分の中にある白いキャンバスにこれからどんな色を使っても、何を描いてもよいと後押しされているような気持ちになります。
前アルバムまでは色を重ねていくような印象でしたが、本作では、余分な音は削られ、必然な音だけで構成された・研ぎ澄まされた印象を受けます。
また、ブラスやストリングスがイントロだけ等の添え物ではなく、全編に亘ってサウンドの一部になっており、奥行きの深い音楽・・・バンドサウンドではなく、まさしく音楽という表現が近いかも知れません。
1. U b u g o e~2. BLUE SOULSで始まるアルバムへの力強い期待感、6. HAKU~7. Eternalによる中盤の美しさ、10. 月光~11. 鳳と凰とアルバムを締める高揚感を、サブスクによる単曲聞きではなく、アルバムを通して感じてもらいたい2021年のマストアイテムです。
(2021年12月発売)

■特典
①ハイレゾ音源付き
CD/LPのパッケージ内に、[wav 24bit / 96kHz] DLコードが書かれた紙が封入されており、追加費無しでハイレゾ音源が入手できます。
②ストア別特典
THE ROTH STORE: 公式オンラインショップ
 特典: アルバム収録曲のAcoustic Session音源のDLコード
FLAKE RECORDS: 大阪の有名なレコード店
 特典: "極彩色の祝祭" TOUR Live at 福岡 The Voodoo Loungeのライブフル音源を収録したCD-R2枚組

☆☆☆☆☆

2021年11月20日土曜日

『ソングマスター』 オースン・スコット・カード

 読み進めると「あれ?この本、意外と面白い」と思うと共に、著者カードの根底にある「愛」を最も感じる作品

■裏表紙より抜粋
人々の心の琴線に触れ、凍り付いた涙さえ溶かし、心を奥底からゆさぶる“魂の歌い手”ソングバード、全銀河をその歌声で魅了するといわれるアンセットとは何者なのか?愛と友情と夢を高らかに謳いあげる感動の名作。

■感想
カードの作品を発表・翻訳順ではなく、手に入れた順に読んでいる私にとって、本作の出だしは『道を視る少年』をはじめとした「特殊な力を持つ少年が主人公が成長していくファンタジーものの一つ=期待できない」と訝しげに読んでいました。
(ちなみに、本作は著者の第三長編にあたります)
しかし、読み進めると「あれ?この本、意外と面白いかも」と変わりに、遂には読み進めるペースが上がり最後まで読み切ってしまう面白さがありました。
『消えた少年たち』では若干の違和感を覚えたモルモン教徒を下敷きとした愛情でしたが、本作では『エンダーのゲーム』における姉ヴァレンタインの深い愛情の原型が見えると共に、著者の作品の中ではバランスよく・最も大きく・強い「愛」を感じ、作者の根底に流れるものであることが分かります。
そして、何より1巻でまとまっていることもお薦めのところ。
著書のストーリーテリングや伏線の張り方・回収の上手さをコンパクトに堪能することができます。
(SONGMASTER by Orson Scott Card, Copyright 1978,1979,1980. 1984年発行)

★★★★


2021年11月4日木曜日

『マーダーボット・ダイアリー ネットワーク・エフェクト』 マーサ・ウェルズ

アニメ絵の表紙に躊躇すると後悔します!初心者にもお薦めしたい2020年代のSFの魅力とテーマが詰まった警備ユニットの冒険譚

■帯より転載
ヒューゴー賞・ネビュラ賞・日本翻訳大賞受賞
『マーダーボット・ダイアリー』待望の続編
「やれやれ、
人間は勝手に死にがちです」
人間苦手、ドラマ大好きの”弊機”が帰ってきた!

■感想
本書は《マーダーボット・ダイアリー シリーズ》の第5章にあたる作品です。
主人公である弊機の成長も楽しみの一つのため、必ず第1~4章にあたる『マーダーボット・ダイアリー』から読むことをお勧めします。
本作を読み終えた第一声は「早く続きが読みたい!」です。
しかし、前半は第1~4章と同じく、警備対象である人間たちが人間らしく動いてしまうか故のトラブルに主人公の弊機(人型警備ユニット)も巻き込まれていく展開に、思わずパターン物では、と少し落胆しかけます。
ところが、後半の展開は思わず「疑ってすみません」と謝りまくりです。
思わぬキャラクターの登場、そう来たか!と唸ってしまう伏線回収、そこまで考えてシリーズタイトルを付けていたの?!等々、SFのエンターテインメントを存分に堪能することができます。
また、2010年代のSF作品に見られる「現代の世界情勢や課題を未来の世界で描く」傾向(どの時代の作品も同時性を持つという側面は普遍なのかも知れませんが)は、本作にもさり気なく下敷きとして世界観を構築していますが、表面を覆う弊機の活躍(面白さ)に目を奪われ、振り返れば感じる程度なのが良いところでもあります。
第6章『FUGITIVE TELEMETRY』は2022年刊行予定と巻末に記載されていたので、来年が待ち遠しい限りです。
(NETWORK EFFECT by Martha Wells Copyright 2020. 2021年発行)
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本作は2021年のヒューゴー賞を受賞したことで、ヒューゴー賞・ローカス賞・ネビュラ賞のトリプルクラウンに輝く。(2022/5/22追記)

★★★★





2021年10月18日月曜日

『無伴奏ソナタ』 オースン・スコット・カード

新訳が出版される=普遍的な面白さを持つ作品とも言えるはず。ハード、ファンタジー、ホラーと多岐にわたるカードの魅力が凝縮された短編集

■裏表紙より抜粋
無重力戦闘室で命がけの戦争ゲームを展開する11歳の指揮官を主人公にした「エンダーのゲーム」などファンタジイからハードコアSFまで独創的なアイディアと奔放華麗な想像力で描き出す傑作11篇を収録!

■感想
『エンダーのゲーム』(長編版)を未読であれば、本短編集の前にまずはヒューゴー賞/ネビュラ賞を受賞した長編版から読むことをお勧めします。
主人公エンダーの成長が細部まで積み上げられているからこその、肝であるオチを十二分に堪能できるからです。
もちろん、麗しきエンダーの姉ヴァレンタインも長編版だからこその配役です。

「処女作にはその作家の全てが表れる」とよく言われますが、本短編集は正にその通りの内容です。
『エンダーのゲーム』は然り、『消えた少年たち』を思わせるようなホラータッチ、『第七の封印』をはじめとしたファンタジー物の原型などを見て取ることができます。
1979年から1981年と約40年前に発表された作品たちですが、2014年に新訳版が発行されることが、本書が普遍的なSFの面白さを持つことの証とも言えます。
また、個人的には《エンダーコレクション》以外のファンタジー寄りの作品群に少し飽きていたところに、“やっぱりカードは面白い!”と再認識させられた短篇集となります。
(UNACCOMPANIED SONATA & OTHER STORIES by Orson Scott Card, Copyright 1977,1978,7979,1980,1981. 1985年発行)

★★★★


2021年9月8日水曜日

Honda CT125・ハンターカブ: 12ヶ月点検

1年間の総走行距離は、たったの823km・・・もっと乗らないとね


■12ヶ月点検費用など(ご参考までに)
SOX○○店
所要時間 約半日
支払総額 13,200円*税込み
・12ヶ月点検費用 11,000円
・オイル交換(工賃含む) 2,200円

■余談
まだまだハンターカブの人気は高いらしく、9月に注文しても、年明け納車らしいです。
色の人気順は、マットフレスコブラウン⇒サファリグリーン(国内未発売)⇒グローイングレッド、とのこと。
12ヶ月点検は、そもそも走行距離が短いので交換等はなく、点検費用とオイル交換代のみでした。
「カブのエンジンは回してなんぼ」なので、2年目はもう少し乗る頻度と距離を増やすことを心掛けます。

2021年8月8日日曜日

『火星へ(上・下)』 メアリ・ロビネット・コワル

2020年代におけるタイムリーなテーマを内包する歴史改変SFの第二作

■帯より転載
地球での分断と対立も含めて、
とてもリアリティがあり、かつ考えさせられる作品。
火星でも星は輝く。
哀しみも愛も全てを包んで。
-山崎直子(宇宙飛行士)
ヒューゴー賞/ネビュラ賞/ローカス賞受賞『宇宙へ』続編

■感想
本作はレディ・アストロノート・シリーズの長編第二作にあたります。
舞台は月から、現実の世界では未実施の火星探査船へと変わるのに、コンピュータ等の一部テクノロジーが発達していない=アナログのままなど、1960年代のif物語としての設定の必要性に懐疑が残りますが、ストーリーテーリングは上手いので、あっという間にエンディングまで面白く読むことはできます。
また、一作目で描かれていた「男性社会への女性進出」は少し鳴りを潜め、本作では「多様性の認知」がより色濃く描かれ、2020年代におけるタイムリーなテーマを内包しています。
読後は「多様性」に対する自身の捉え方を再認識することになりました。
(THE FASTED SKY by Mary Robinette Kowal, Copyright 2018. 2021年発行)

★★★




2021年7月25日日曜日

『巨星』 ピーター・ワッツ

コンピュータ内部のマシン語を人がかみ砕けるようにアセンブリ言語へ変換したのと同じような感覚で、AIの思考を疑似体験できる

■新刊案内より転載
直径2億kmの巨大宇宙生命体との邂逅を描くヒューゴー賞受賞作「島」、意識を与えられた軍用ドローンの進化の果てをAIの視点から描く「天使」など、現代ハードSFを代表する著者による日本オリジナル短編集。

■感想
一体何を読んでいるんだ、と面食らうピーター・ワッツ節全開(誉め言葉)の短篇が半分。
残り半分はまだデビュー直後と見受けられる普通なSF作品で占められている、ピーター・ワッツ入門として最適な11編収録の短編集です。
出だしの『天使』は、軍用ドローンAIの一人称語りをロボットや機械の擬人化による手法ではなく、コンピュータ内部のマシン語を人がかみ砕けるようにアセンブリ言語へ変換したのと同じような感覚で、AIの思考はこのように構築されていくのではないかと説得力のある文体で描かれています。
そして『島』はいわゆるファーストコンタクト物ですが、まだ月までしか到達していない私たちに宇宙の壮大さと奥深さを想起させれくれる秀作です。
また、本作に収録された『ホットショット』『巨星』『島』は、長編『6600万年の革命』の前後譚でもあるので、両作を読むことでより深く世界を楽しむことができます。
(THE ISLAND AND OTHER STORIES by Peter Wats Copyright 1994-2014. 2019年発行)

★★★★


2021年7月5日月曜日

『マーダーボット・ダイアリー』 マーサ・ウェルズ

アニメ絵の表紙に騙されてはいけない!元殺人兵器が出会う起伏に富んだ様々な事件を淡々とアンドロイド目線の一人称が語る違和感(アンバランスさ)が生む面白さ

■帯より転載
ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞3冠
「冷徹な殺人機械のはずなのに、
弊機はひどい欠陥品です」
密かに自らをハッキングした人型警備ユニット“弊機”は
過去の重大事件の真相を追い始める・・・・・・本格SF!

■感想
2年前の店頭にて、アニメ絵の表紙(下左図)に触手が動かなった自分に後悔を抱かせる、ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞3冠は伊達では無い本格SFです。
原著のような表紙イラスト(下右図)であれば、直ぐに手にしたはず。
あまり期待もせず読み始めたのですが、一人称の「弊機」(主人公のアンドロイドには名前が無く、自分のことを弊機と呼ぶ。原著の人称代名詞は"I")に違和感を覚えつつ、第一章を読み終えた時には馴染むと共に、これは確かに「日記」だと腑に落ちるのです。
人型警備ユニットである主人公と警備対象である人間たちに様々な事件が起こるエンターテインメントの面白さはもちろんあるのですが、アンドロイドの目線で淡々と描写される妙な違和感(アンバランスさ)に徐々に嵌まっていきます。
その違和感は解説(渡邊利通著)にもあるように、ロボット三原則の揺らぎが根底に流れているからかも知れません。
本作はシリーズの1~4章にあたるもので、短編と5・6章の翻訳が待たれるところであり、弊機の更なる活躍が早く読みたいです!
(THE MURDERBOT DIARIES -ALL SYSTEMS RED, ARTICIAL CONDITION, ROGUE PROTOCOL, EXIT STRATEGY- by Martha Wells Copyright 2017,2018. 2019年発行)

★★★★★


■マーダーボット・ダイアリー シリーズ
・#1『システムの危殆』(Copyright 2017. 2019年発行)
・#2『人工的なあり方』(Copyright 2018. 2019年発行)
・#3『暴走プロトコル』(Copyright 2018. 2019年発行)
・#4『出口戦略の無謀』(Copyright 2018. 2019年発行)
・短編『THE FUTURE OF WORK: COMPULSORY』(Copyright 2018. 未訳)
・短編『HOME: HABITAT, RANGE, NICHE, TERRITORY』(Copyright 2020. 未訳)
・#5『NETWORK EFFECT』(Copyright 2020. 未訳)
・#6『FUGITIVE TELEMETRY』(Copyright 2021. 未訳)